漱石hommage 吾輩はクルマである(再)
カテゴリー
:ショールームダイアリー
スタッフ
:高橋 勇太 / タカハシ ユウタ
[店長]
[2020/07/04]
スポーツカーとは何ぞや。
ハイパワーなクルマか 軽量なクルマか ハンドリングの鋭いクルマか ボディバランスの良いクルマか
エンスージアスト諸兄にはそれぞれの価値観に基づくスポーツカーの定義があることだろう。
それについて吾輩も狭義に拘り極め付けるような料簡はない。
さて屁喜男であるが30年前に初めて乗ったRX7からその考は変わっていない。
軽量小型のロータリーエンジンの利点を最大限生かした低重心FRフロントミッドシップレイアウト。
重心を車体の中央に置く前後重量配分は FCでは50.5対49.5。FDでは50対50。
前輪が操舵のみに働くFRで フロントオーバーハングが軽ければ回頭性は頗る良い。
FCではフロントストラット リアはマルチリンクサスペンション。
FDになってフロントダブルウィッシュボーンとなり タイヤの接地性は更に向上している。
ところが屁喜男に言わせれば 一番は恰好良い事である。
恰好良くなければスポーツカーではない。2ドアでなければスポーツカーではない。
不毛である。
屁喜男みた様なやつが格好に拘ったところで虚栄でしかない。
哀しい哉 己を知らぬ無知の無知なり。
屁喜男の考に当てはめると 吾輩はスポーツカーの資質を有している。
当たり前である。 はぐれ刑事純情派風に言えば 当たり前田のクラッカーである。
吾輩同族は110年の歴史の中で スポーツ性能に拘って造られてきた。
超高張力鋼板やアルミ素材を惜しげなく使い 本来相反する軽量化とボディ剛性の高さを実現している。
重量7kgの日立製カーボンプロペラシャフトを採用していることなど 拘りを証明する良い例であろう。
軽量でボディ剛性が高ければ車体の捻じれも少ない。以前話したかもしれんが
リアスタビリティーが高いのでステアリング補正の必要もなくスムーズに曲がる。
掛かる遠心力も少ないので 踏ん張りを効かせる為の硬い足回りにする必要がない。
実にしなやかな乗り味を実現している。
そしてFRである。前後重量配分50対50を実現している。
回頭性が良いうえにステアリングギア比は12対1だ。
サスペンションはフロントダブルウィッシュボーン リアはマルチリンク。
車体が傾斜しても路面接地性が良く アンダーステアも解消し乗り心地にも貢献している。
当然バネ下は軽い方が良い。主要部材はアルミニウム製である。
雑味のないステアリングフィールと切れ味の鋭いコーナリングなどお手の物なのである。
そもそも吾輩の故郷伊太利は 北にはアルプス山脈があり半島部にはアペニン山脈が縦に走っている。
山間部の連続するカーブではステアリングフィールや回頭性の良さが問われる。
人間族にとってもその方がストレスにならずに好かろう。 国柄はモノ作りにも表れる。
話が逸れた・・・
どんなに素晴らしいパワートレインを持っていても
トラックのように真四角なカタチをしておれば性能を発揮することはできん。
だったら風も友達にすればよい。静岡出身の蹴球少年の名言はボールは友達である。
ボディ各所に風洞実験から得た機能的デザインを加え
下回りにアンダーボディカバーを装着し整流する。空気抵抗係数CD値は0.23だ。
スポーツカーであること。
その為のクルマ作りの骨格となるのが
軽量であること。ボディ剛性が高いこと。空力性能が良いこと。
後はどう味付けをして表現するかである。
因みに吾輩は狭義でのスポーツカーでは勿論無い。
アレもコレもと欲張る人間族の為に 必要な室内スペースや荷室スペースを確保している。
吾輩がここまでしているのにそれでも不平は出る。
人間族の業とは・・・
クルマは恰好良くなければ不可ないと屁喜男は思ってきたが
吾輩同族を知って以来 クルマを美しいと表現する。